【特別寄稿】タイ事情

ケー・ティ・アンド・エス特許業務法人の戸原です。
自動車会社の開発と知財を卒業し、今年独立した弁理士です。
このブログで自動車のことや知的財産について書いていきたいと思います。

さて、今回はタイの知的財産に関する話です。

タイは東南アジアのデトロイトと言われるぐらいに自動車産業が成長している。走っている車のおよそ9割が日本の自動車メーカーのものであるが、日本製というわけではなく、現地で生産されているものである。それはなぜか?

タイでは自動車の輸入関税が凄まじく高く設定されている。例えば乗用車の場合、日本で300万円の車を輸入した場合1,000万円近くまで跳ね上がる。ちなみに、三菱のデリカD5やトヨタのアルファードも現地で販売されているが、現地生産していないので、1,000万円以上する。

では、これら自動車に使われる部品は日本製かというと、それも違ってきている。自動車の海外生産では、部品を日本から送って現地で組み立てる方式(ノックダウン方式)と、現地で部品を買ってきて現地で組み立てる方式がある。しかし、多くの新興国で同じ状況であるが、現地調達率というので輸入関税や受けられる優遇税制がかわる。すなわち、車全体の部品のうち、現地のサプライヤーから購入した部品の割合が一定以上なければ、輸入車と同じように高くて売れないのだ。このような制度により、自国の産 業を発展させるのが狙いであり、日本だってかつて、同じようにししてきた。

そういった状況では、日本の部品メーカーもタイに進出しなければ、大手メーカーからの受注が狙えない。しかし、資金が乏しいサプライヤーは、タイに進出することも難しい。 そのため、大手メーカーの紹介などを通じて、現地資本とともに合弁会社を立ち上げるなどして、タイに進出を果たしてきた。その過程では、当然技術というのを現地資本のメーカーに売り渡したり、あるいは提携という形で現地メーカーに流れていってしまった。そういった過程を経て、タイ資本の自動車部品メーカーも成長を続けている。

その象徴となるのが、サミットグループである。日本の金型製造で有名なオギハラもサミットグループにより買収された。日本の技術やノウハウという知的財産は、そういった形で常に世界から狙わているということを意識しなければならない。また、こういう状況があるから、日本の産業空洞化が進んでいることも認識しなければならない。当然、海外に進出できなった零細企業などは、何もしなければ、大手企業からの受注が減り、日本の産業空洞化とともに、事業が縮小していく。日本国内やるべきことは、まずは、日本でしか出来ない技術を磨くことである。常に日本しかできない新しい技術を生み続け、それが海外に移転する前に、また新しい技術を生むというサイクルを回していくことをしていかなければならない。

現地でモノを見て、人の話を聞くと、そういった危機感を感じることができた。

(写真はタイ本田で製造されたシビック)

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